VANFOOK システムパーツダブル / BGダブル / BSリングのインプレッション
システムパーツダブルとは
2024年3月下旬に発売した、VANFOOK(ヴァンフック)の「BLADE WORKS System Parts Double(ブレードワークス システムパーツダブル)」。
いわゆる、ブレードジギング用のダブルフックのセットです。
ブレードワークス システムパーツダブルを構成しているのは、
・フック(ブレードワークス BGダブル)
・コロラドブレード
・ボールベアリングスイベル(BSスイベル)
・スプリットリング(BSリング)
の4点。
必要なパーツがすべて組み込まれているので、あとはお好みのジグに付けるだけのセットです。
フックサイズは、#3、#2、#1の3種類。
ブレードカラーは、シルバーとゴールドの2種類。
#3のセットには、一回り小さなコロラドブレードが付いています。
なお、本記事では、このセットを「システムパーツダブル」と表記します。
だって、正式名称で書くと長いんで。型番的には「BWSD」だけど、わかんないんで。
名前が長いなんて言うと、開発者さんに怒られそうだけど。
まぁ、Oさんはきっと笑って許してくれるでしょう。たぶん。
インプレを書く前に
まず、はじめに、このシステムパーツダブルをつかうことになった経緯や立場から。
僕は、2023ヴァンフックフィールドモニターです。担当したのはブレードフック。
発売前からサンプルを提供いただいて使用しています。
自分でも各種パーツをガンガン購入していますが、提供いただいていることを明記しておきます。
そのため、みんなより少しだけ長くつかっていて、少しだけ詳しいです。
システムパーツダブルならびに、BGダブルやBSリングについて、
インスタで小出しにしていた内容をまとめてみましたので、
購入を考えている方の参考になれば幸いです。
システムパーツダブルの特長
先述のとおり、システムパーツダブルを構成するのは4つのパーツ。
フック、ブレード、スイベル、スプリットリング。
……なんですが、やっぱり気になるのはフックだと思います。
この記事を探して見つけて読んでるぐらいなんで、「ダブルフックってどうなん?」が知りたいはず。
ダブルフックの掛かり方
ブレードジギングでブレードフックをつかうにあたって、気になるのは鈎の掛かり方。
ブラックバスのラバージグやアジのジグ単みたいに、
「狙って上アゴ貫通」みたいなのはできないので、基本的にはお祈りフッキング。
これはシングルフックでもダブルフックでも同様で、
ブレードが一体化して回っている構造上、どうしても仕方がないところ。
鈎が横を向いたり、下を向いたりするからね。
理論上で言えば、「フックポイントが倍のダブルフックのほうが掛かりやすい」
「ダブルフックなら片方のフックポイントが寝ていても、もう一方のフックポイントが立つ」
っていうのはわかるんですけど、実際どうなの?と思うのが釣り人。
というわけで、システムパーツダブルをつかった、ある一日の釣行のフッキングをまとめてみました。
↑サワラ(ちょうど80cmぐらい)
↑マダイ(60cmぐらい。浮くまで青物だと思ってた)
↑ツバス(僕は愛知在住なので、このサイズはツバス呼び)
↑レンコダイ(お吸い物にすると美味しいからうれしい)
↑アジ(なぜかブレードに反応するよね。40cmぐらい)
舞鶴でサワラ狙いだったんですけど、魚種はいろいろ。掛かっている位置もいろいろ。
サワラはカンヌキ(地獄)あたりのナイスなフッキング。
マダイは歯の内側をえぐっためちゃくちゃいい掛かり方。
レンコダイとツバスはよくわかんないけど、アジは下アゴからアッパーカット。ね、いろいろ。
で、なにが言いたいかって話なんですけど、
この日は「掛かり方はいろいろだけど、全部釣り上げた」ってこと。
バラしてないです。ランディングした後も、ちゃんと鈎が刺さったまま。
ジグとフックが連結されていて、距離が近くて、誰がどう見ても鈎が外れやすいのがブレードジグ。
バラしづらいってのはとても大切。特にサワラはバラしやすいんですよね。
ダブルフックのバラしづらさ
「フックアップ率を高めたい」「負荷を分散させて身切れを防ぎたい」、
このあたりがダブルフックをつかう理由。つまり、バラさずに取り込みたいってこと。
がんばって巻いて、やっとアタって、なんとか寄せて、船べりでバラすとか本当につらい。
それがサワラのメーター超えだったら、普通に膝から崩れ落ちる。
もちろん、バラさないようにやり取りするし、タックルも考えるし、
ドラグも調整するんだけど、頼れるところは頼りたい。だからダブルフックを選ぶわけです。
写真を見てもらえるとわかりやすいと思うんですが、
サワラって、歯がえっぐいぐらい鋭いくせに、口の周りが全体的に裂けやすいんです。
じゃあ、ダブルフックならなんでもいいかと言うと、そうじゃないわけで。
各社各種のダブルフック(ツインフック)があって、僕の手元にもなんやかんやとたくさんあります。
スプリットリングを介さずに装着できるタイプ、シングルふたつを熱収縮パイプで固定しているタイプ、このあたりが代表的。
で、VANFOOKのシステムパーツダブルの「BGダブル」は、溶接してあることが特徴。
僕は常々、好きなものつかえばいいよ派なのですが、
このスプリットリングを介さないタイプだけはやめておいたほうがいいと思っています。
理由は、隣で膝から崩れ落ちてる人を見たから。
バスとかナマズ相手なら問題ないです。つけているのがプラグだから。
シンプルに収まるのがめっちゃいいですよね。トップウォーターには無性につけたくなります。
でも、サワラを相手にするなら、まったくおすすめしません。
ジグは重くてぐわんぐわん揺れるから。サワラは船べりで0→100の動きをするから。伸びて抜けます。
ちなみに、熱収縮パイプのほうは、個人的には結構好きです。
まず、どうにかして固定してやろう、どうにかしてシングルの良さを残そう、っていうアイデアが詰め込まれてるのが好き。
ブレードジグ使用時の難点を想像すると、若干物々しくなるのと、
サワラのような歯が鋭いサカナが相手だと簡単に破ってしまうこと。
それに、フックを外すときにプライヤーでパイプが傷つきそう。あと、パイプの中に海水が溜まりそう。
で、このダブルフックですよ。溶接しちゃってます。ガッチガチです。
溶接を外そうとしても、たぶんその前にフックが伸びると思います。取り込むまでガッチガチです。
BGダブルはブレード専用設計で、ブレードにマッチするようにシャンクを短めに設定。
フックアイがちゃんとあって、フックだけが抜けるってことはないです。
フッキングの良いワイドゲイプ形状で、サワラはもちろん、青物とのやり取りにも耐えられる太軸仕様。
2本同時にフッキングしやすく、ファイト時にフックの穴が拡がりにくくなるように、フックの角度が調整してあります。
フック単体で見れば、太軸のシングルフックのほうが強度は高いです。
その分、BGダブルは線径をより太めに設定して、焼き入れ温度の調整して仕上げているそうです。
で、実際に青物を釣ってみました。釣れちゃった系ですが。
88cm、6kg。
これが実際に釣った鈎。潮抜きをして乾燥中。
鈎の形がまったく変わってない。少なくとも、僕の目じゃわからない。
「ん?なんかしたか?」みたいな強者の様相。
こんなのが来ても、全然問題無しでした。
耐久性とサビづらさ
ここで、実際に釣行を重ねたフックをひとつ。インプレの記事なんでね。
使用環境は以下のとおり
—
・実釣は6回、すべてオフショア
・30〜80gのジグで使用
・だいたい高速巻き
・毎釣行後はぬるま湯で潮抜き
・鈎先は一度も研いでない
・ブラシでのメンテもナシ
・フックはジグにつけたままタックルケース保管
—
結論から言うと、「フックより先に、ブレードがダメになる」です。
まず、見た目については、写真がすべて。
新品と比べると、鈎の光沢がなくなって、マットな質感になりました。キズもいっぱいです。形状の変化はナシ。
フック自体に致命的なサビはない模様。ただ、ダブルフックの接合部とスプリットリング(BSリング)にちょっと茶サビが浮いてますね。
なお、僕は結構真面目に潮抜きをする派、というか毎釣行後に釣り具やウェアといっしょにお風呂に入るタイプです。
ちゃんと潮抜きをすれば、ベアリングスイベルも普通に回ります。
次に、肝心要の鈎先。
感想は、「思った以上にフックポイントが生きててびびる」です。これは正直なところ、めっちゃ意外。
僕はつねにシャープナーを携帯してるんですけど、まだいっか……で、気づけば6回釣りしてました。
タックルケースにも、あえてジグから外さずにごちゃ入れしてるんですけどね。鈎先が若干内側に向いてるのがいいのかも。
で、ブレード。
見てのとおり、メッキが剥がれてきました。どこでぶつけたのか、凹んでもいます。
実釣には問題なさそうだけど、ちょっと不安になる感じ。うん、ダメになってきてる。
というわけで、僕のレビューとしては、「フックより先に、ブレードがダメになる」でした。
これだけつかえれば十分だと思いますけど、判断はお任せします。
ちなみに、なんで6釣行という微妙な回数でのレビューかと言うと、
たぶん次あたりでサワラカッターにやられて無くなると思うから、です。
なお、このフックはサンプル品なんですが、製品版はさらに防錆性がアップしています。
先日乗った船の船長さん曰く、「このフックはバレづらいのと、サビづらいのがいい」とのこと。
毎日海に出ている船長さんが言うなら間違いないですね。
あと、フックのシートなんですけど、こんなつかい方もアリです。
適当に切って、適当にフックに刺すだけ。
タックルケースに入れるときに、大事な鈎先を守ることができます。
その上、フックが絡まずに取り出せるんで、ジグの交換が2秒くらい早くなりますよ。
BSリングに注目してほしい
システムパーツダブルのダブルフックの利点をいろいろ書いたんですけど、これは、実は長い前段。
僕が声を大にして紹介したいのは、スプリットリング。VANFOOKの「BSリング」。
ベアリングスイベルにフィットする楕円形に近い三角形状で、
方向性を持たせられるのでリグが安定する。
加えて、フッ素加工された高強度ステンレスワイヤーの太軸。というのが、BSリングのウリ。
簡単に言うと、ブレない、硬い、太い、ってことです。
この小さなパーツが、僕が思う最大の推しポイント。
というか、このBSリングがつかいたくて、フィールドモニターに手を挙げたくらい。これ本当の話。
発売当初から知っていたわけではなくて、認知したのは、FishArrow × urocoのコロジグブレードで採用されたことから。
実際につかってみるとわかるんですけど、めっちゃ安定して回ります。回りすぎだろってぐらい回ります。
フィールドモニターになってからいろんなジグでつかい込みましたけど、やっぱり良いです。
安定感はもちろん、強度面での安心感が違うっす。硬い、太い、かっちかち。
ベアリングスイベルの仕様的に、穴の径が限られているので、
他社製だと軸が細いスプリットリングが採用されていることも多いです。
2本の線を穴に入れようとするから、必然的に1本自体が細くなるんですよね。
結果、下の画像のようなことにもなるわけです。
システムパーツダブルで使用しているBSリングは#4。#4の強度は75lb。まぁ壊れないです。
で、つかってるうちに、「これ、ブレードフックだけにつかうなんてもったいない」ってなるわけです。
「ジギングにいいんじゃね?」って。
ジギングでの連結パーツとして
ということで、ジギングでの連結に使用する場合の方法も紹介しておきます。
まずは溶接リング付きのベアリングスイベルを用意して、ジグ側のリングをニッパーでカット。
普通に硬いんで、本気を出して切りましょう。リングが飛ぶと危ないので、タオルで包んで切ると◎。
あとはBSリングを付けるだけ。サイズはお好みですけど、大きめを選んでおいたほうがいいすね。
大きいほうがジグのつけ外しがしやすいです。トンジギのときは、5番(強度は120lb)をつかいました。
パーツが最小限で済むので、「ベアリングスイベルをつかいたいけど、シンプルに仕上げたい」と思う方におすすめです。
ただ、ベアリングスイベルの種類によって相性があるんで、うまくハマらないものもあります。
穴の径の太さや長さが違うんですよね。合うものを探してみてください。
投げやりっぽいですけど、これをやってみようと思える方なら、探すのもきっと好きなはず。
ちなみに僕は、#3のベアリングスイベルを組み合わせています。
ビンチョウ(ビンナガ)もヒラマサも、このシステムで釣っているので、強度的には問題ないと思っています。
デメリットを挙げておくと、普通の丸型のスプリットリングのほうが、ジグのアイに付けやすいです。
慣れたらなんてことはないのですが、初めは戸惑うかも。
あと、ジグを取っ替え引っ替えしていると、少しずつ隙間が生まれてきます。
これは他のスプリットリングでも起こる事象ですが、ベアリングスイベルがずれる前に交換してくださいね。
以上、BSリングの紹介でした。ベアリングスイベル用のかっちかちのスプリットリング。
もう一度言いますけど、僕が思う最大の推しポイントです。
システムパーツダブルは、外せない
というわけで、システムパーツダブルと各種パーツの紹介&インプレでした。
僕はいろんな釣りをするんですけど、サワラのブレードゲームは本当におもしろい。
グリグリ巻いていると急に巻けなくなって、ガッガッガッってドラグが出るのたまらない。
もちろん、船に乗れば絶対に釣れる、なんてことはないです。
特に、船中で0か1かみたいな状況のとき、ダブルフックは安心感があっていいですね。
ブレードジギングにおいて、外せないアイテムだと思います。
……あ。こうやって書いていて、システムパーツダブルの最大の短所を思い出しました。
たまーにある、「えっと、もうサゴシはリリースでいいです」という日。
こんな日。
こんな刺さり方をすると、バレないどころか、本当に本当に外せないんで、手返しがわるくなります。
いろんな意味で“外せない”、システムパーツダブル。
気になった方はつかってみてください。きっと強い味方になってくれるはずです。
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