印籠継ぎ(インロー継ぎ)で釣り竿を修理 ※失敗談アリ【APIA GRANDAGE LITE 72】

印籠継ぎ(インロー継ぎ)で釣り竿を修理 ※失敗談アリ【APIA GRANDAGE LITE 72】
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はじめに

書こう書こうと思っていながら、ズルズルと先延ばしにしていた記事を書きます。
画像素材だけはちゃんと準備してたんです。

お題は、
「印籠継ぎ(インロー継ぎ)で、折った釣り竿を直してみたよ。折ったのは、アピアのグランデージ ライト 72だよ。失敗談もあるよ」
です。

ベリー部分でポキリ。

そもそもなんでこんなことになったのかを話すと、
「暗がりでネットを片付けていたら、ロッドを踏んだ」から。

体重を逃したつもりだったけど、致命的だったようです。次のキャストで真っ二つになりました。
竿を折る前の僕はいい顔してますね。

この日は、ヘッドライトを忘れて、しかもグローブも忘れて、軍手で釣りをしたという冬の日。
こういう、準備万端じゃない日って、なんで釣れるんですかね。はじめて釣り竿を折りました。

なにそれ、おもしろそう

いっしょに釣りをしていた友人が釣具屋店員だったということもあり、その場で相談。
「ティップセクションだけ買う?」「保証書ある?」「直す?」「印籠継ぎで直すことになると思うけど」

印籠継ぎって、あの印籠継ぎだよね?修理でつかうの?なに?芯を入れて直すの?
……え、おもしろそう。……やってみたい、自分で。

竿を折ったショックより、好奇心のほうが勝ちながら、その日は帰宅。
この時点では、方法だけ聞いたけど、なにが必要なのかもわかってない状態。ゼロからのスタートです。

下調べ、下調べ、下調べ

というわけで、下調べの日々。いちばん参考になったのは、この記事。

『インロー芯を使用して、折れてしまったロッドを直そう!』
https://www.ishiguro-gr.com/blog/detail.php?id=2704

東海地区のみんな御用達の、イシグロさんのブログ。
手順が一通り書いてあるので、めちゃ参考になりました。
プロの作業が見たければ上記の記事でOK。
素人の紆余曲折が見たければ、引き続きどうぞ。

ちなみになんだけど、印籠って、なんでインローって表記するんだろう。
インロウじゃないの?日本語なんだから、いんろうじゃないの?謎。

自分でも調べつつ、友人の勤務する店舗にも行き、あれこれ相談。
「さくっと直すなら、補修糸と速乾のエポキシ接着剤だけでもいける」と言うので、一旦信じてみる。一旦ね。

印籠芯の準備

ここから具体的な作業へ。まずは、印籠芯(インロー芯)の準備。

修理用として売られているカーボンの芯を買うか悩んだり、
あえてグラス素材にしてみる?とか悩んだりした結果、自分でつくることにしました。

材料は、中学生のころにつかっていた、どこのメーカーかもわからないバスロッド。
もうつかう機会はないので、素材になってもらうことにする。ちなみに、カーボン含有量は不明。
塗装を剥いだらなんか茶色かったけど……。ま、いっか。乾いた音がするし、たぶんカーボン。

なお、チューブラー(中空)だったので、ティップ側のより細い部分を中に詰め込んで、疑似ソリッドにしています。

ロッド側の調整

これが折れたところ。折れたのは、ベリー部分。
不幸中の幸いで、縦方向のダメージは少なそう。クラックが入っているところまでをマスキングでマーキング。

ざくっと切断。5mmぐらいの犠牲で済みました。
ハサミやカッターでは切れないので、カッターのこがあると便利です。

断面を紙やすりで整えて、ロッド側の作業は終了。

印籠芯の接着

さて、あとはこれを接着するだけ。
接着するだけ……なんですけど、ご想像どおり、めっちゃ地味な調整が必要です。

これがちゃんと入るように削らないといけないんですよね。
竿の中に入れて、抜いて、削って、入れて、抜いて、削って。
印籠芯は10cmにしてみました。

ちなみに、「ちょっと削りすぎた?やっちゃった?」ぐらいで大丈夫です。
隙間はエポキシが埋めてくれるので大丈夫。
むしろ、ギチギチだと、エポキシが入る余裕がなくて詰みます。

まずは片側を接着。

で、もう片方も接着。ちゃんとまっすぐになるように、離して確認。
近いところでの作業が続いているので、すこし遠目で、俯瞰で見るといいと思います。

スレッド巻きとエポキシコート

補修糸の巻き方や糸の抜き方は、ジャストエースさんの動画を見漁りました。
スレッド巻きは何度でもやり直せるので、一発で仕上げなきゃと思わなくてOK。
僕はバスロッドの切れ端で練習しました。

シンプルに仕上げたかったので、飾り糸は無し。
補修糸にはいろんな太さがありますが、「細」で十分でした。

で、ここからが失敗談です。
まぁ、「失敗」ではないんですけど、やり直すことになります。

エポキシの接着剤を混ぜ混ぜして、スレッドに塗布。
(筆の塗料の跡は気にしないで……)

これが一度目の状態。この時点では、とても良さそうな感じ。

で、これが二度目の塗り。

あ、あれ……。なんか、思ってたんと違う……。
光沢はあるけど、気泡がめっちゃ残ってるし、いびつだし、思ってたんと違う。

強度的には十分なんだろうけど、見た目が、イヤ。

確かに、「さくっと直すなら」いいけど、この時点で結構な時間が掛かってる。
時間を掛けた結果がこれは、イヤ。

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専用のアイテムを揃えよう

というわけで、やり直し。
専用の、ちゃんとした、エポキシコートを買いました。

うすめ液は、結果的に、筆を洗うためだけにつかいました。
筆については、釣具屋さんでピンとくるものがなかったので、ダイソーで購入。

ネイル用の筆です。トロっとしたジェルを爪に塗るための筆。良さそうでしょ?
実際、コシがあってつかいやすかったです。

ここからが本番

さて、やっとモノが揃ったので、ここからが本番。

エポキシコートをスポイトで吸い、2液を混ぜ混ぜ。
あ、混ぜたカップは、ゼリーの抜け殻です。これは専用アイテムじゃないね。

スレッド巻きは割愛。一度目の塗りも割愛。

実は一度仕上げていたんだけど、エポキシの混ぜが足りなくて硬化不良を起こしたのも割愛。

冬の日だったので、硬化時間を考えて、石油ストーブの前で作業しました。
失敗を踏まえて、エポキシの混ぜ時間は、10分。
それでも、全然固まらないのが専用のエポキシコート。

塗布して、ライターで軽く炙って気泡を抜いて、自作の作業スタンドで、手動で竿を回し続ける。
「フィニッシングモーターほしい…」と思いながら回し続ける。

「時間かかるなぁ…」とは思うけど、この硬化時間があるから、馴染むし、平坦になるし、光沢が出るんですね。

ある程度のところで回す手を止めて、一日放置したのがこちら。

ちょっと波打ってる気もするし、接合部の線が気になるけど、まぁ許容範囲。

遠くから見れば、わかんない。

実釣でチェック

5mmぐらい短くなっただけなので、持った感じは違和感なし。
重さの違いもよくわからないので、よくわからないぐらいしか変わってないと思う。

ただ、曲げてみると、直した部分にハリが出てるのがわかる。
そりゃね、補強されてるからね。補強、ということは、言うなれば“パワーアップ”ですね。

ベリー部分がパワーアップしたことで、より合わせが効く、個人的チヌスペシャルになりました。

あ、補修部分が2つになってるのは、後日クラックを見つけたからです。
もうなんの抵抗もないので、ぶった切って、同じ手順で修復。

いつかはまた折れちゃうかもしれないけど、フルソリッドになるまでは直して遊ぶつもりです。

修理で用意したもの一覧

印籠芯は、大型の釣具屋さんだと取り扱っていることもあるので、電話で問い合わせてみてください。
ただ、いきなり印籠芯と言うと、店員さんによっては「え?」ってなるので、「修理用品の〜」と付け加えるといいと思います。
僕が調べたタイミングでは、ネットで買うと送料で結構割高になっちゃう感じでした。
筆はお好きなものをどうぞー。

だれかの参考になればうれしいです。

インプレはこちら

お時間がある方は、こちらもどうぞ。
TSURI HACKさんのところで、グランデージ ライト 72のインプレを書いています。